Interview 6
AIチャットボットの口調が与える印象
AIチャットボットの口調に対して、ユーザーが好感を抱くパターンはどれだと推測されますか。
・機械的な口調
・事務的、真面目な口調
・明るくフレンドリーな口調
・貫録のある口調
・キャラクター性のある口調
言語情報7%でしか計れない部分ではありますが、どのようにお考えですか。
そうですね。余談ですけど最近、新幹線のアナウンスが人ではなく機械音になってきているんですよ。
へぇ、そうなんですか。
機械なんだけど機械的な口調というよりは、はっきりと男性女性の判別ができていて、イントネーションで人間味を感じさせる工夫がされているんですね。
テキストを扱うチャットボットでも、人間味を持たせることはできると思うんですよ。先程も出てきた「営業時間は?」という質問に「9時から18時までやっとっちゃ。」と答えたり。
富山弁になってますね(笑)
中身は機械だけど、この人富山出身かな?って思いますよね。語尾にアクセントをつけると非常にキャラクター性が表れて面白い。ただしシリアスな場面とプレイフルな場面の区別は大事で、状況によってこれが許される許されないはあります。「息子の鼻血が止まりません。」と言われて「大丈夫かな~?」とふわふわした回答をすると、むしろ大丈夫かこのチャットボットって思いますよね。このようなシリアスな場面では「息子さんの意識ははっきりしていますか? このような処置を行なってください。」といった事務的で真面目な対応の方が信頼感が増す。その一方でプレイフルな場面、いわば遊びの場で同じような口調だと、もう少しユーモアのある反応はしてくれないのだろうか、とユーザーは感じやすい。
チャットボットの口調やキャラクター性は、扱うテーマによって異なってくると思います。
例えば法律事務所のチャットボットは硬い文章の方が「しっかりやってくれそう。」と思うし、遊園地やテーマパークのチャットボットは軽くて楽しそうなノリの方が「行ってみたい!」と興味を持ってくれて集客につなげることができそうですね。
この質問はとても面白くて、私は本やブログやネットの情報を読んでいる時に、キャラクター性とか機械的であるとか、そのような見方をしていないんですよ。チャットボットの口調に対してユーザーがどのような印象を抱いたのか、データを集めて分析してみても面白いですね。どうしてそう感じるのか? と次の段階まで形態素解析ができれば、財産になるのではないかと思います。AIはデータを基に倫理観や感情といったものを学習していきますが、ディープラーニングのようなベイズ統計を使うと、私たち人間の入力値がAIの精度に影響していくわけです。でも、ありとあらゆる想定ができるほどユーザーは一緒くたではない。私の知るかぎり、今のところ完全な自由記述でやりとりするチャットボットは世界中に存在しないと思います。膨大なデータベースを活用し、そのように見せているものはありますが、本当に自由なところから回答しきれているAIはない。
やはり今の技術ではまだ難しいんでしょうね。AIが自由なコミュニケーションをするというのは。
ありがとうございました。AIと人の非言語コミュニケーションについて、6回にわけてお話を聞かせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。